シルクロード旅行⑤西安〜ハミⅡ
列車は咸陽に停車、ここから乗り込む乗客も結構いるようだ。
夜も更けてきたので狭い寝台に潜り込む。こういう時は何故かなかなか寝付くことが出来ない。
深夜、いくつの駅を過ぎ、目が覚めると列車は蘭州を過ぎ、いよいよシルクロードの世界へと入ってきた。
(朝食は車内販売で)
武威で少し停車時間があったので車両の外に出てみる。周りには建物が立ち並んでいるが、少し郊外に出ると、窓ガラスに映るのは砂と低い草木だけの世界。
(武威にて)
まったくの砂地という訳ではないので、イメージしていたゴビ砂漠の中をひたすら列車が進む、という自分が出発前に抱いていたイメージとは少し違っていた。
張液、嘉峪関という歴史ファンではおなじみの地名の駅を過ぎ、列車は西へ。
低窝铺という駅では窓の外が、砂嵐のせいで、真っ茶色の世界になっていた。
しかし、列車にただひたすら乗っているというのはどうにもやはり退屈だ。
暇になったら見ようと思ってタブレットに入れ込んでいた映画はタブレットがバッテリー切れになってしまい、なんの役にも立たず、後はぼーっと通路の席に座って外を眺めたり、貫通路近くのデッキでタバコを吸ったり、車内をウロウロしたり、といった感じである。
(昼食は食堂車にて)
外の景色は単調なものの、結局は外の景色を眺めることに時間の大半をを費やしてた。
昔、沢木耕太郎の深夜特急を読んでいた時のこたをふと思い出した。沢木が、テヘラン行きのバスに乗っていた折、まだかまだか、とテヘランに着くのを待ちわびて、周りの乗客にあれがテヘランか、次の街がテヘランか、と聞き回った時、目の前にとてつもなく大きな光の街が現れ、それを見た途端、あれがテヘランなのだ、と瞬時にわかったというのである。
ハミもそれに劣らず大きな都市で、夜に建物や光がチラホラと見えだすと、大きなビルの立ち並んだ街が現れ、真新しいホームの哈密駅が現れたのであった。